冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 初手からぐいぐい来られ、何の話し合いに来たのか分からなくなるセシリー。そんな姿を見て、レオリンがフレアを窘めてくれた。

「フレア、その前に彼らと直近の問題について語り合わないと……少しばかり大人しくしていてくれるかな」
「あら残念。ならばわたくし、政治絡みのお話はあまり興味がありませんのでそれまで黙っていますわ」
「そうしてくれると助かる」

 口を尖らせつつも、すんとレオリンの隣にお澄まし顔で戻ったフレアにセシリーはほっと胸を撫で下ろし……一行は案内されたテーブル席に落ち着くと、今回の事件について語り合った。

 まず進行役のキースが、事のあらましを説明する。

「ルバート氏にもあの後お話をお伺いしましたが、それによると最初の異変が起こったのは、オーギュスト殿とセシリー嬢がガレイタムに旅だった、すぐ後のようです」

 丁度その頃、連日に渡っての苦情騒ぎが起こり、それに呼応するようにクライスベル商会を批判する文言を記したビラが撒かれたり、実際に表立って暴動などが起こされたらしい。その対応で苦慮している間に支配人であるルバートも姿を消し、さらに王都のクライスベル商会は追い込まれた。
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