冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 よってイーデル公爵はリュアンから騎士団員資格を剥奪し、また彼の知己で固められた魔法騎士団を解体すると共にその団員たちも正騎士団内にて再編成、再教育を行うべきだと考えた――。

 もちろんそれはリュアンにとっては身に覚えのない事実で、あまつさえ自らだけでなく団員さえも処罰の対象に含めたとんでもない内容だったが、彼は珍しく感情的にならず、イーデル公爵とマイルズを強く見据えていた。

「他方、リュアン氏側の訴えはこのようになっております――」

 余裕の表情をして鼻で笑うイーデル公爵たちを余所に、今度はリュアン側の主張をレオリンは読み上げてゆく。

 ――リュアン氏は、マイルズの侮辱の件ついては彼がセシリーにとある喫茶店で圧力をかけ、自由を侵害しようとしたのを止めただけで、騎士として当然の行いであったと主張。
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