冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
(あの顔、見覚えがある者ばかりですね。まだ刑に服しているはずの者もいるのですが、多分、強引に恩赦を与え呼び寄せたのでしょう)
(ああ、俺が捕まえた人間もいる……そこまでするとは)
キースが一つ隔てた席で、リュアンに耳打ちしたのが聞こえた。
そうまでして報復しようという彼らの執念にセシリーの背中に寒気が走ったが、それに対してリュアンも挙手し、静かに弁解する。他にも見に覚えない冤罪を疑われ、リュアンはなんとか声を荒げずに対応したが、精神はひどく消耗したことだろう。
「今回の訴えが認められなくとも、我々はこれらの件を今後も追及してゆくつもりでおります。それにあの、ヴェルナー家出身だということから、何をしでかすか分からない人物であるということはおわかりのはずだ。彼の暴挙による被害者を出さないため国王様、どうか速やかに賢明な御裁可を……」
主張が終わり、イーデル公爵が頭を下げると国王はううむと唸り、公爵と法務省の役人に目をやった。
やはり彼も大きな権力を握るイーデル公爵には、あまり強く出られないのではないか……セシリーはそんな危惧を抱く。
(ああ、俺が捕まえた人間もいる……そこまでするとは)
キースが一つ隔てた席で、リュアンに耳打ちしたのが聞こえた。
そうまでして報復しようという彼らの執念にセシリーの背中に寒気が走ったが、それに対してリュアンも挙手し、静かに弁解する。他にも見に覚えない冤罪を疑われ、リュアンはなんとか声を荒げずに対応したが、精神はひどく消耗したことだろう。
「今回の訴えが認められなくとも、我々はこれらの件を今後も追及してゆくつもりでおります。それにあの、ヴェルナー家出身だということから、何をしでかすか分からない人物であるということはおわかりのはずだ。彼の暴挙による被害者を出さないため国王様、どうか速やかに賢明な御裁可を……」
主張が終わり、イーデル公爵が頭を下げると国王はううむと唸り、公爵と法務省の役人に目をやった。
やはり彼も大きな権力を握るイーデル公爵には、あまり強く出られないのではないか……セシリーはそんな危惧を抱く。