冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「ぶへぇっ、こ、こんな……認めるものか! 僕は次期イーデル公爵だぞっ! 公衆の面前で殴られて鼻血を出すなんて……人生最大の屈辱だ! 覚えてろ、貴様ら……僕が牢から出たら、必ずお前たちに復讐しに行く! 僕の、華々しい人生を穢した報いを――ッ!」
口にさるぐつわでもされたのか、マイルズの声は途中で聞こえなくなり、続いて彼らに従っていた者たちもうなだれながら連行されて行った。
「あのくらいで屈辱とは、ずいぶん楽な人生を送ってきたようだ。……反省も無いようですし、あの様子だと二度と牢屋から出られないでしょう。仮に出たとしても、貴族としての後ろ盾を失った彼には破滅的な人生しか待っていないでしょうが……やれやれ」
それを見届けたキースの酷評の後、国王は少し疲れた顔で宣言する。
「では皆の者……この件は当分口外無用とする! イーデル領に関しては、もし現イーデル公爵が政務の続行が不可能であり、然るべき継嗣を立てられぬ場合は配下の者に受け継がせることとなろう。無論、今回の奴らの訴えも無効とし……リュアン・ヴェルナー及びセシリー・クライスベルの両名、そしてクライスベル商会にはイーデル公爵家から相応の賠償金が払われるよう、余が直々に話を付けるとしよう。それで今回の件は決着とする……よいな!」
口にさるぐつわでもされたのか、マイルズの声は途中で聞こえなくなり、続いて彼らに従っていた者たちもうなだれながら連行されて行った。
「あのくらいで屈辱とは、ずいぶん楽な人生を送ってきたようだ。……反省も無いようですし、あの様子だと二度と牢屋から出られないでしょう。仮に出たとしても、貴族としての後ろ盾を失った彼には破滅的な人生しか待っていないでしょうが……やれやれ」
それを見届けたキースの酷評の後、国王は少し疲れた顔で宣言する。
「では皆の者……この件は当分口外無用とする! イーデル領に関しては、もし現イーデル公爵が政務の続行が不可能であり、然るべき継嗣を立てられぬ場合は配下の者に受け継がせることとなろう。無論、今回の奴らの訴えも無効とし……リュアン・ヴェルナー及びセシリー・クライスベルの両名、そしてクライスベル商会にはイーデル公爵家から相応の賠償金が払われるよう、余が直々に話を付けるとしよう。それで今回の件は決着とする……よいな!」