冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「ハッ!」「御心のままに!」
(よかったぁぁぁ~……。つ、疲れたよぉ)

 跪いて首を垂れるリュアンたちに倣ったセシリーは首をがくっと落とし、もうこの場で脱力して、地面にへたってしまいたい気分になっていた。やっとなのだ……。ようやく彼との因縁に決着が着き、心の平穏が戻ってくる。

「父さん、なんで黙ってたのよ!!」
「すまないな娘よ。万が一騎士団の内部で情報が洩れている事を考えて、共有は最小限の人物で済ましたかったのだ」
「そうなると、あいつを逃してしまったのは痛いな……」
「いや、あそこまでの使い手だとは想定外でした。死者が出なかっただけよしとすべきでしょう。レオリン様、念のためこの場にいた全員に妙な魔法が掛けられていないか、調べてもらえますか」
「ああ、宮廷魔術師に解除魔法を準備させる。皆、こちらに来てくれ」

 レオリンはそういうと、別棟にある宮廷魔術師たちの研究室に案内してくれる。
 リュアンは悔しそうにしていたが、すぐに気を取り直し、セシリーに顔を向けると今回の行動を褒めてくれた。
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