冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「やるじゃないかセシリー、魔法を使いこなせるようになるなんて。もう俺たちに守られるばっかりじゃないんだな……でも、危ないと思ったら自分の身を守ることに専念しろよ? 」
「わかってますって。任せて下さい!」

 一連の事件にやっと決着がついて、清々しい気分だ。

(疲れたぁ……もう今日は帰って寝よう)

 今日だけは思い悩むのはやめると決めてセシリーは大いに背を伸ばし、大欠伸を噛み殺す。

『――きゃはははははっ……!』
(ん~……?)
「セシリー、どうかしたか?」
「……いえ、今行きます!」

 そこで、誰かの甘ったるい笑い声が脳裏をかすめた気がした……。

 だが、リュアンたちが声を掛けてくれていたので、慌てて背中を追い会議場を後にしたセシリーは、後でそのことを思い返すことはなかった……。
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