冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 なにせ『当国の前時代的な司法制度を変化させ、これからの発展した社会に対応するためには~』とか『ガレイタムとファーリスデルの同盟関係をもっと拡大し、周辺諸国も組み入れて国際社会との繋がりを~』とか仮に自分に問われても、諸手を挙げて降参するしかない。

 かろうじて着いて行けるのは商業関係の話くらいだろう。

 魔法という技術ができたおかげで今ファーリスデルは国家としてかなり潤沢な財源を持っているため、商業取引にかかる税率を下げてはという話が出ているのだ。後は魔道具の輸出制限の解除とか、魔法を扱う人材を他国に派遣し、利益を得る仕組みを作るのはどうかとかそんな話もあるが……そも現在の魔力の源は、封印されたリズバーンもしくは『暗黒』から漏れだしたものがほとんどなのだ。

 今後どうなるかもわからない事にあまり踏み込んだ答えも出せない。リュアンとしてもひたすら苦笑いで流すしか無いようだった。

 途中で王太子とフレア嬢も声を掛けてくれ、もうすぐ開会の挨拶を行うからと言ってどこかへと消えて行く。フレア嬢から「今日のあなたは素敵よ、頑張ってね!」と肩を叩かれたのには大いに励まされた。
< 664 / 799 >

この作品をシェア

pagetop