冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
彼女も今日は金装飾をそこかしこにちりばめた明るい橙のドレスを着こなし、気合を入れて辺りに笑顔を振りまいている。同じ聖女として見習わなければ……とセシリーは密かにお腹に力を入れ、慣れない作り笑顔を顔に浮かべると、リュアンにこっそり指摘される。
「お前それはちょっと変だぞ。わざとらしいっていうか……」
「うっ、そうですか? じゃどうすれば……」
「もっと力を抜け。いつも通りでいいんだ。お前、いつもの笑顔は結構いいんだから、自然にしてろ」
後ろに回り込み、そっと安心させるように肩口をさすった。甘い吐息が耳にかかってくすぐったいし、突然褒めてくれるから余計にセシリーの緊張は増してしまう。
「そ、そっちこそいつも通りにしててください! こ、これ以上は……」
「……何だ?」
より顔を近づけてくるリュアンを、自分でも何を言おうとしたのか頭からすっ飛んだセシリーが押し退けようとした時、室内の明かりが暗く落ちる。
「お前それはちょっと変だぞ。わざとらしいっていうか……」
「うっ、そうですか? じゃどうすれば……」
「もっと力を抜け。いつも通りでいいんだ。お前、いつもの笑顔は結構いいんだから、自然にしてろ」
後ろに回り込み、そっと安心させるように肩口をさすった。甘い吐息が耳にかかってくすぐったいし、突然褒めてくれるから余計にセシリーの緊張は増してしまう。
「そ、そっちこそいつも通りにしててください! こ、これ以上は……」
「……何だ?」
より顔を近づけてくるリュアンを、自分でも何を言おうとしたのか頭からすっ飛んだセシリーが押し退けようとした時、室内の明かりが暗く落ちる。