冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「でもですね。団長たるリュアン様がそんなお顔でいらっしゃれば、皆様がご心配なさってきっとお仕事に差し支えが生じましてよ! ここはっ、ぜひ、これをお受け取りくださいませぇっ……!」
「いいや、必要ないっ! 我らが団員たちは皆屈強な精鋭揃い。こんな傷程度で動揺して任務に支障をきたす弱卒など、おらんのでなぁぁ……」
こうなるとリュアンも意地で、決して受け取ろうとしない。ふたりの間で妙な緊張感の元押しつけ合いが始まった。
(ちょっと、どうしたんだよ、ふたりともいきなり喧嘩腰で……! 雰囲気やばいですって! キース先輩、どうにかしてくださいよっ)
怪しくなりはじめた雲行きに、ふたりの馴れ初めを知らないラケルがキースの肩を揺さぶり助けを求めたが、彼はとりあう様子もなくオーギュストとの談笑を続けている。
「いやあ、放っておきなさい。意外と男女の仲はあんな感じで始まったりするものですよ。ねえ、オーギュスト氏?」
「いいや、必要ないっ! 我らが団員たちは皆屈強な精鋭揃い。こんな傷程度で動揺して任務に支障をきたす弱卒など、おらんのでなぁぁ……」
こうなるとリュアンも意地で、決して受け取ろうとしない。ふたりの間で妙な緊張感の元押しつけ合いが始まった。
(ちょっと、どうしたんだよ、ふたりともいきなり喧嘩腰で……! 雰囲気やばいですって! キース先輩、どうにかしてくださいよっ)
怪しくなりはじめた雲行きに、ふたりの馴れ初めを知らないラケルがキースの肩を揺さぶり助けを求めたが、彼はとりあう様子もなくオーギュストとの談笑を続けている。
「いやあ、放っておきなさい。意外と男女の仲はあんな感じで始まったりするものですよ。ねえ、オーギュスト氏?」