冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
大好きな……本当に大好きな家族のひとり。血の繋がりなんてなくても、互いにどんな過去があったとしても、もうかけがえのない……絶対に失いたくない大事な人。
(私が信じないと……信じたいの! お願い、力を下さい! 傷つけるためじゃなくて……あの人に、想いを届けるための力を……!)
戻ってきて欲しいと、それだけを祈る。ただ彼女の笑顔を思い浮かべて。
「……うッ!?」
セシリーの意思に応じたように、太陽の石が強い光を瞬かせて一瞬だけ広間の闇を払い、魔法陣を描くエイラの指先が乱れた。
「――でかしましたわ!」
「――この機は逃さん!」
拘束が緩み、レオリンの光の剣が魔法陣を切り伏せ、フレアがすかさずエイラを狙い矢を放つ。棘は完成を見ずに四散し、迫る光の矢が、エイラの肩を撃ち抜いた。
(私が信じないと……信じたいの! お願い、力を下さい! 傷つけるためじゃなくて……あの人に、想いを届けるための力を……!)
戻ってきて欲しいと、それだけを祈る。ただ彼女の笑顔を思い浮かべて。
「……うッ!?」
セシリーの意思に応じたように、太陽の石が強い光を瞬かせて一瞬だけ広間の闇を払い、魔法陣を描くエイラの指先が乱れた。
「――でかしましたわ!」
「――この機は逃さん!」
拘束が緩み、レオリンの光の剣が魔法陣を切り伏せ、フレアがすかさずエイラを狙い矢を放つ。棘は完成を見ずに四散し、迫る光の矢が、エイラの肩を撃ち抜いた。