冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 フレア自身は今、時計塔にいる。太陽の石が破壊され、不安定になった大災厄の封印を少しでも長く持たせるため、ほとんど睡眠も食事もとらず一日中祈りを捧げているのだ。彼女の献身が無ければもしかしたらとっくに封印は解かれ……復活したリズバーンにより両方の国が今周りを囲むような、見渡す限りのまっさらな砂地へと変えられていたかも知れない。

 彼女や、王都を発つ自分たちを勇気づけてくれた人、違う場所で戦ってくれている人たちの事をセシリーは思い浮かべた……。



 ――事件後、王城に赴いて国王に事態を説明したレオリンにセシリーたちも帯同しており、通信用魔道具で連絡を取ったガレイタムの王太子ジェラルドとの会話にも参加した。

 あちらでも時計塔の不調が甚だしく、すぐに異変には気付いたらしい。大規模部隊を編成して国の各地へ防備に送らせると共に、再封印の為に用意していた人工魔石の大半をファーリスデルに輸送してくれるとジェラルドは約束してくれ……レミュールやマーシャも、少しでも助けになる可能性があるならと、実家へ戻っていた聖女候補を呼び集め月の石に祈りを捧げると言っていた。
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