冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
エイラは諦めたように体の力を抜くと、セシリーの顔を見つめた。
「そんなことをしたら、もう二度とこちら側の世界には戻れない。愛した人や、仲間たちと言葉を交わすことはおろか……生まれ変わることすらできないわ。かつての我が主のように、誰とも永遠に言葉を交わせない場所へと赴くことになる。あの世界の孤独さをあなたも知っているのでしょう?」
かつて、セシリーが女神と出会った世界。あたかも月の大地に降り立ったかのような、無限に広がる白い空間。リズバーンに作られた魔女の記憶でそれを知ったのか、エイラはセシリーの肩を揺さぶった。
「今ならまだ間に合う。止めなさい……きっと、永劫にも近い時をひとりで過ごさなければならないのよ!? そんなものをあなたが耐えられるわけないでしょう! あなたみたいな……強くない、ただの女の子が」
「やっぱりエイラだ」
セシリーは、彼女の身体を嬉しそうにしっかり抱き寄せた。エイラの頬には一筋、光るものがあった。
「……どうして、そこまでするの?」
「決まってるよ。大好きな人たちだから。あなたも……皆も」
セシリーはエイラの額に自分のものをそっと当てた。それだけで、エイラにも彼女の望みが伝わっていた。
「そんなことをしたら、もう二度とこちら側の世界には戻れない。愛した人や、仲間たちと言葉を交わすことはおろか……生まれ変わることすらできないわ。かつての我が主のように、誰とも永遠に言葉を交わせない場所へと赴くことになる。あの世界の孤独さをあなたも知っているのでしょう?」
かつて、セシリーが女神と出会った世界。あたかも月の大地に降り立ったかのような、無限に広がる白い空間。リズバーンに作られた魔女の記憶でそれを知ったのか、エイラはセシリーの肩を揺さぶった。
「今ならまだ間に合う。止めなさい……きっと、永劫にも近い時をひとりで過ごさなければならないのよ!? そんなものをあなたが耐えられるわけないでしょう! あなたみたいな……強くない、ただの女の子が」
「やっぱりエイラだ」
セシリーは、彼女の身体を嬉しそうにしっかり抱き寄せた。エイラの頬には一筋、光るものがあった。
「……どうして、そこまでするの?」
「決まってるよ。大好きな人たちだから。あなたも……皆も」
セシリーはエイラの額に自分のものをそっと当てた。それだけで、エイラにも彼女の望みが伝わっていた。