冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
(本当はセシリーがそうだと分かった時点で、僕が向こうの国に連れて行かなきゃダメだったんだ。でも、できなかったよ……皆でいると、楽しくて。こっちではひとりぼっちだった僕を皆、家族みたいにしてくれたから。離れたくなかったんだ、皆と……オマエと)
月の聖女の眷属としての務めを果たそうとしたリルルは、自分の使命より彼らと一緒にいることを選ぼうとした。それを聞いたラケルの両目から涙が零れ落ちる。
すると宥めるようにリルルは優しい声で告げる。
(心配しなくてもいい。身体は消えても……心だけはオマエの傍にいるよ。これで、絶対にひとりにならず済むでしょ。僕と同じでラケルは寂しがり屋だから……)
「嫌だ……消えないで。心なんて、触れられないし、声も聞けない……。きっと、いつかお前のことを忘れてしまう……」
(そうかもしれない。でもね、もし忘れたって、きっとどこかに行った時、誰かと話した時、一緒にご飯を食べてる時……色んなときに思い出せるよ。あんなヤツがいたんだって……)
月の聖女の眷属としての務めを果たそうとしたリルルは、自分の使命より彼らと一緒にいることを選ぼうとした。それを聞いたラケルの両目から涙が零れ落ちる。
すると宥めるようにリルルは優しい声で告げる。
(心配しなくてもいい。身体は消えても……心だけはオマエの傍にいるよ。これで、絶対にひとりにならず済むでしょ。僕と同じでラケルは寂しがり屋だから……)
「嫌だ……消えないで。心なんて、触れられないし、声も聞けない……。きっと、いつかお前のことを忘れてしまう……」
(そうかもしれない。でもね、もし忘れたって、きっとどこかに行った時、誰かと話した時、一緒にご飯を食べてる時……色んなときに思い出せるよ。あんなヤツがいたんだって……)