冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 その顔は……ベロ出し、白目。
 完全に馬鹿にしていた。

「…………。リ・ル・ルゥ――!」
(い、いだだだ! し、尻尾を握らないでよ! 禿げる、千切れる!)
「お前……ふざけんな、ふざけんな! こっちがどれだけ心配したと思って……!!」
(し、仕方ないだろバカラケル! お前が、セシリーほっぽりだして変なことやってるから! い、いたたたた!)
「……リュアンさん、あなた、気付いてましたね」
「っく……いや、まあ……」

 リルルの体をつねりまくっているラケルからリュアンは目線を逸らした。実は途中から、彼の見えないところでおちょくるように尻尾がぴろぴろ動いていたのをリュアンは見ていたのだ。

 がっちり体を掴まれながら、リルルは叫ぶように言う。

(で、でも……どれだけつまんないことやってたか、これでわかっただろっ!)
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