冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
今彼女の足元にある、作りかけの月の石と太陽の石……暗黒をこの世界から、自分たちの世界へ送り返すために、それらに女神は自分たちを移していたのだという。セシリーはそれらの力を自分の身に宿らせ、意思を持たぬ砂の柱と化したリズバーンの体ごと、暗黒を浄化していた。
しかしそれは……彼らと一体になるという事は、大いなる力に飲み込まれることと同じことだ。リズバーンのように拒絶反応が出て反発し、不完全に終わるのが普通だ。しかし、セシリーは自分の意思をを失くすことなく彼らにその身を捧げることができた。なぜなら……。
「皆が、私を大事にしてくれたから。色んなものを与えて強くしてくれたから……何も怖がる必要は無いんだって、教えてくれたから」
「でも、それじゃお前が消えてしまう……!」
「消えないよ。消えてたまるもんですか……だって、皆と約束したもん。絶対帰るって……。家族も、友達も、仲間も……絶対悲しませたりしない。だから……お願いリュアン様。私を信じて。いつか絶対、皆のところに……あなたのところに帰ってくるから!」
今回だけはセシリーは泣くまいと思った。満面の笑顔でリュアンの前で胸を張る。
しかしそれは……彼らと一体になるという事は、大いなる力に飲み込まれることと同じことだ。リズバーンのように拒絶反応が出て反発し、不完全に終わるのが普通だ。しかし、セシリーは自分の意思をを失くすことなく彼らにその身を捧げることができた。なぜなら……。
「皆が、私を大事にしてくれたから。色んなものを与えて強くしてくれたから……何も怖がる必要は無いんだって、教えてくれたから」
「でも、それじゃお前が消えてしまう……!」
「消えないよ。消えてたまるもんですか……だって、皆と約束したもん。絶対帰るって……。家族も、友達も、仲間も……絶対悲しませたりしない。だから……お願いリュアン様。私を信じて。いつか絶対、皆のところに……あなたのところに帰ってくるから!」
今回だけはセシリーは泣くまいと思った。満面の笑顔でリュアンの前で胸を張る。