冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 出会えたことを悲しまずに、喜んで力に変え、この先も歩んで行って欲しい。

 ずっとこの先も、その曇りのない真っ直ぐな目で……最初に会った時から大好きだったその瞳を俯けずに、信じた道を彼らしく駆け抜けて欲しいから。

 こうすれば、どんな言葉で伝えるよりも、きっとわかってくれるだろうと思ったのだ。 

「できるのか……。じゃないよな……やるって決めたんだよな、お前にしか出来ないことを。なら、俺は……」

 リュアンはいつのまにか零れそうになってた涙を袖で拭う。
 そしてセシリーを真摯な瞳で射抜き、突然大きな声で言った。

「俺……リュアン・ヴェルナーはセシリー・クライスベルを終生の伴侶と定め、いついかなる時もその身を案じ、寄り添い……決して惑わず愛を捧げることを誓う!」
「え……あ、はい?」
 
 予想と違った返しに戸惑うセシリーに彼は、とびきりの笑顔でこう約束してくれた。
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