冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
だが彼らに浮かぶのは余裕の笑みで、敗者の気持ちを考える素振りなど微塵もない。
「わ、なぁに? このおばさん怖~い。イルマなぁんにも悪いことしてないのに~」
「そうだぞ、これは僕と君との問題だろう。イルマに悪意を向けるのはやめてくれないか」
「さっすがマイルズ、格好いい~! だぁい好き!」
奴らの顔面に向かって熱々の紅茶をぶちまけなかった私を誰か褒めてください……そんな切ない気持ちを押し隠し、セシリーは言い放つ。
「え~え~もう何も言わないし、あなたたちとはなんの関係もないわっ! ふたりで勝手に楽しくやれば? どーぞお幸せにっ! さよならっ!」
悔し涙がこぼれる寸前、せめてもの意地で彼女はテーブルを両手で叩き、わめくようにしてその場から飛びだした。たいした嫌味のひとつも言ってやれない自分の弱さが、本当に情けないったらなかった。
「わ、なぁに? このおばさん怖~い。イルマなぁんにも悪いことしてないのに~」
「そうだぞ、これは僕と君との問題だろう。イルマに悪意を向けるのはやめてくれないか」
「さっすがマイルズ、格好いい~! だぁい好き!」
奴らの顔面に向かって熱々の紅茶をぶちまけなかった私を誰か褒めてください……そんな切ない気持ちを押し隠し、セシリーは言い放つ。
「え~え~もう何も言わないし、あなたたちとはなんの関係もないわっ! ふたりで勝手に楽しくやれば? どーぞお幸せにっ! さよならっ!」
悔し涙がこぼれる寸前、せめてもの意地で彼女はテーブルを両手で叩き、わめくようにしてその場から飛びだした。たいした嫌味のひとつも言ってやれない自分の弱さが、本当に情けないったらなかった。