冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
受付係の勘違い②
魔法騎士団本部は三階建てで、宿舎も兼ねてあるらしい。とりあえず任されたのは、各階にセットされたカートからシーツを取り出しベッドへと被せていく作業だけなので、ニ時間そこそこもあれば終わった。
「あ~、いい運動になった。これで大体最後かな?」
「ふぅ、お疲れ様~。初日からごめんね、助かったわ。あら、あなた……」
軽く汗ばんだ額を拭いながら部屋から出てきたセシリーに、受付の女性から声がかかったが、今さらながら彼女は何かがおかしいのに気づいたようだ。
「その格好……。もしかして、お手伝いさんじゃ、ない?」
「ないです。というか、私は聞いてないです」
今のセシリーの格好は、サフランイエローのワンピースドレスに淡いグリーンのカーディガンを重ねた町着で、明らかに仕事着ではない。
「嘘。だって昨日確かに、ひとり手伝いの人が来るって――」
「あ~、いい運動になった。これで大体最後かな?」
「ふぅ、お疲れ様~。初日からごめんね、助かったわ。あら、あなた……」
軽く汗ばんだ額を拭いながら部屋から出てきたセシリーに、受付の女性から声がかかったが、今さらながら彼女は何かがおかしいのに気づいたようだ。
「その格好……。もしかして、お手伝いさんじゃ、ない?」
「ないです。というか、私は聞いてないです」
今のセシリーの格好は、サフランイエローのワンピースドレスに淡いグリーンのカーディガンを重ねた町着で、明らかに仕事着ではない。
「嘘。だって昨日確かに、ひとり手伝いの人が来るって――」