冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
そして団長であるリュアンも自ら率先して食堂を訪れ、様子を確かめに来たというわけだった。彼はセシリーが配膳したトレイをつかむと無表情のまま歩いてゆく。
(そんな嫌そうにするくらいなら、外に食べに行けばいいのに……)
半眼で見送るセシリーを、すぐ後ろに並んでいたキースがやんわりとフォローしてくれる。
「すみませんねぇ。彼、かなりの意地っ張りでして。内心では許してはいても、どう接していいのかわからないのです。ちゃんとお詫びも受け取りましたし、気にすることはありませんよ……やあ、美味しそうだ」
「キースさん……」
「文句を言いながらも、ちゃんと付けてはいるみたいですから御心配なく。もちろん、私もラケルも使わせていただいてますよ」
彼は同じようにトレイを受け取ると、服の袖を捲る。そこにはサファイアがあしらわれた細い銀の腕輪が嵌められている。それは交渉の前にセシリーが渡した例のお土産だ。せっかくエイラに相談してまで用意していたというのに、彼らがクライスベル邸を訪れた時は場が慌ただしくなってしまって、先延ばしになってしまっていた。
(そんな嫌そうにするくらいなら、外に食べに行けばいいのに……)
半眼で見送るセシリーを、すぐ後ろに並んでいたキースがやんわりとフォローしてくれる。
「すみませんねぇ。彼、かなりの意地っ張りでして。内心では許してはいても、どう接していいのかわからないのです。ちゃんとお詫びも受け取りましたし、気にすることはありませんよ……やあ、美味しそうだ」
「キースさん……」
「文句を言いながらも、ちゃんと付けてはいるみたいですから御心配なく。もちろん、私もラケルも使わせていただいてますよ」
彼は同じようにトレイを受け取ると、服の袖を捲る。そこにはサファイアがあしらわれた細い銀の腕輪が嵌められている。それは交渉の前にセシリーが渡した例のお土産だ。せっかくエイラに相談してまで用意していたというのに、彼らがクライスベル邸を訪れた時は場が慌ただしくなってしまって、先延ばしになってしまっていた。