6月、高嶺の花を摘みに
なんなの本当に。

最近変な人に絡まれすぎてるんだから。

「どうかしましたか?」

落ち着いた声でと務めて声をかけてやる。

するとなぜか私の隣の席に腰を下ろし始めたのだ。

本当に意味がわからない。

なんなの。本当になんなの。

神様は私に何をしたいの。

こんな変なことで一日を埋めたって、私の人生が大きく変わることはないんだから。

しかもこの沈黙、すごく嫌だ。

「……っ申し訳ありませんでした」

隣から思わぬ声が聞こえてきて、ばっと顔を向けた。

てっきりナンパとか、そこら辺かと思ってたから。

「なんで私が謝られなきゃいけないんですか。何かの人間違いだと思いますよ」

「違う。絶対お前だ。駅ん中でぶつかったやつだろ」

「え、はぁ……」

全く頭が理解していない状態で唐揚げ定食が届き、箸を手にひと口食べる。

肉汁がじゅわっと、それで衣はカリッと。

今の頼りはこの美味しさだけ。
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