元彼専務の十年愛
『お疲れさまです。お話したいことがあります。お時間いただけませんか?』

隆司先輩にメッセージを送り、ドキドキしながら、スマホを胸の前で握りしめた。
愛花は隆司先輩から少し事情を聞いたと言っていたから、彼なら全て知っているのかもしれない。
颯太に訊ねたところできっと教えてはくれないだろうし、隆司先輩にしか頼れない。
私は明日ここからいなくなる。
もう20時だし、隆司先輩から今日中に返信がなければ…もしくは都合が悪いと言われれば、颯太について直接聞くことはもうできない。
不安と焦りに駆られていると、胸に抱いたスマホが着信音を鳴らしながら震えた。

『いいよ。21時に社食のラウンジでいい?』

ものの数分で返事がきて、一筋の光を見つけたような気持ちになった。
『はい』と返し、すぐに会社へ向かう準備を始めた。

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