元彼専務の十年愛
7月に入り、結婚指輪を買うためにいくつも宝石店を回った。
紗知は派手なものは好まないだろうから、シンプルなものがいいだろう。
かと言って、ありふれすぎているのも…とさんざん悩んだ末に選んだ指輪は、ストレートタイプにカーブを描くシャープなラインが入っているものだ。
「この指輪、何文字まで刻印できますか?」
「こちらのデザインですと、20文字が限度ですね」
20文字か…
あの指輪と同じく交際記念日を刻んでもいいのかもしれないが、俺たちの時間は一度途切れているのだ。
何か紗知の心に響く別のメッセージを送りたい。
そこでパッと思いつく。
「"The everlasting love"」
——"永遠に続く愛"
「ギリギリ入るかな」
「ええ。大丈夫だと思いますよ」
店員が微笑み、「素敵な言葉ですね」と付け足す。
思わず照れ笑いをした。
俺は紗知や隆司以外の人の前でもこんなふうに笑えるようになったんだな、と妙な感動を覚えた。
紗知は派手なものは好まないだろうから、シンプルなものがいいだろう。
かと言って、ありふれすぎているのも…とさんざん悩んだ末に選んだ指輪は、ストレートタイプにカーブを描くシャープなラインが入っているものだ。
「この指輪、何文字まで刻印できますか?」
「こちらのデザインですと、20文字が限度ですね」
20文字か…
あの指輪と同じく交際記念日を刻んでもいいのかもしれないが、俺たちの時間は一度途切れているのだ。
何か紗知の心に響く別のメッセージを送りたい。
そこでパッと思いつく。
「"The everlasting love"」
——"永遠に続く愛"
「ギリギリ入るかな」
「ええ。大丈夫だと思いますよ」
店員が微笑み、「素敵な言葉ですね」と付け足す。
思わず照れ笑いをした。
俺は紗知や隆司以外の人の前でもこんなふうに笑えるようになったんだな、と妙な感動を覚えた。