元彼専務の十年愛
2. 胸臆
「はあ…」
リビングのドアを開け、目に飛び込んできた景色に驚愕した。
天井高の大開口の窓の向こうには、大小たくさんのビルが立ち並んでいる。
そして左側には、ひと際大きな東京タワーが見える。
東京に住んでいるのだから当然東京タワーはビルの間から見えたりするけれど、こんなに間近で、しかも見上げる形ではなく正面から見たことはない。
まるで展望台にいるようだ。
ほんの1時間前まで、私は3階建のマンションの一室にいた。
引っ越しだなんて言われても実感が湧かず、部屋の整理もしていなかったけれど、業者の手によってあっという間に部屋は空っぽになった。
そして隆司先輩の案内でマンションに足を踏み入れると、煌びやかなロビーに高速エレベーター。やたらと広いリビングにこの眺望。
自分が住んでいた部屋とのギャップが大きすぎて眩暈がする。
別世界に迷い込んだような気分だ。
「すごいでしょ」
フリーズする私の隣で、隆司先輩がクスクス笑う。
「ここはALPHAと縁深い不動産が見繕って、家具類もコーディネーターが全部揃えたらしい。颯太は忙しくてそれどころじゃなかったからね」
「そうなんですか…」
広い室内を一通り見渡す。
ナチュラルウッドが基調の室内にはアートパネルも飾られていて、モデルルームのようにおしゃれだ。
リビングのドアを開け、目に飛び込んできた景色に驚愕した。
天井高の大開口の窓の向こうには、大小たくさんのビルが立ち並んでいる。
そして左側には、ひと際大きな東京タワーが見える。
東京に住んでいるのだから当然東京タワーはビルの間から見えたりするけれど、こんなに間近で、しかも見上げる形ではなく正面から見たことはない。
まるで展望台にいるようだ。
ほんの1時間前まで、私は3階建のマンションの一室にいた。
引っ越しだなんて言われても実感が湧かず、部屋の整理もしていなかったけれど、業者の手によってあっという間に部屋は空っぽになった。
そして隆司先輩の案内でマンションに足を踏み入れると、煌びやかなロビーに高速エレベーター。やたらと広いリビングにこの眺望。
自分が住んでいた部屋とのギャップが大きすぎて眩暈がする。
別世界に迷い込んだような気分だ。
「すごいでしょ」
フリーズする私の隣で、隆司先輩がクスクス笑う。
「ここはALPHAと縁深い不動産が見繕って、家具類もコーディネーターが全部揃えたらしい。颯太は忙しくてそれどころじゃなかったからね」
「そうなんですか…」
広い室内を一通り見渡す。
ナチュラルウッドが基調の室内にはアートパネルも飾られていて、モデルルームのようにおしゃれだ。