元彼専務の十年愛
いつの間にかだいぶ日が傾いてきていた。
颯太が早く帰ってくるなら夕食は必要だろうか。
隆司先輩にちゃんと確認しておけばよかったと思いながら、とりあえず冷蔵庫を開く。
予想通り、冷蔵庫にはペットボトルやビールの缶、調味料くらいしか入っていない。
会食や出張が多いのなら、自宅でも出来合いのものしか食べないのだろう。
婚約者としてすべきことの範疇はわからないけれど、颯太が食べないのなら私が明日食べればいいのだし、迷ったけれど夕食を作ってみることにした。
食材を買いに近所のショッピング施設へ出かけようとすると、ロビーでコンシェルジュが「いってらっしゃいませ」と声をかけてくれる。
帰ってくれば当然「お帰りなさいませ」だ。
反応に困って会釈を返すけれど、これが外出のたびに続くのかと思うと憂鬱な気持ちになる。
買ってきた食材をキッチンに広げる。
彼は高級料理に慣れていて舌が肥えているだろうから私の味覚ではあてにならないと思い、スマホで調べたレシピの分量や煮込み時間は正確に守った。
颯太が早く帰ってくるなら夕食は必要だろうか。
隆司先輩にちゃんと確認しておけばよかったと思いながら、とりあえず冷蔵庫を開く。
予想通り、冷蔵庫にはペットボトルやビールの缶、調味料くらいしか入っていない。
会食や出張が多いのなら、自宅でも出来合いのものしか食べないのだろう。
婚約者としてすべきことの範疇はわからないけれど、颯太が食べないのなら私が明日食べればいいのだし、迷ったけれど夕食を作ってみることにした。
食材を買いに近所のショッピング施設へ出かけようとすると、ロビーでコンシェルジュが「いってらっしゃいませ」と声をかけてくれる。
帰ってくれば当然「お帰りなさいませ」だ。
反応に困って会釈を返すけれど、これが外出のたびに続くのかと思うと憂鬱な気持ちになる。
買ってきた食材をキッチンに広げる。
彼は高級料理に慣れていて舌が肥えているだろうから私の味覚ではあてにならないと思い、スマホで調べたレシピの分量や煮込み時間は正確に守った。