元彼専務の十年愛
「そうだ。この前北海道にゴルフに行ってな、いいコースを見つけたよ」
「本当ですか?」
「ああ、今度颯太くんも一緒にーー」
ふたりの会話を見ながら、違和感を覚えた。
颯太は笑っているようで笑っていない。
張り付いた笑みとでもいうのだろうか。
その表情に全く温度を感じないのだ。
けれど、藤島さんとの友好的なやりとりに少しの壁も感じない。
そこにますます違和感がある。
藤島さんは気づいていないんだろうか。颯太の笑顔が不自然なことに。
少し会話をして、会釈をしてその場を去った。
そのまま幾度か同じような挨拶を繰り返しているうちに、船が出航した。
バンケットスタッフに飲み物を問われ、颯太と同じくシャンパンをお願いした。
司会が進行を務め、主催者がマイクの前に立つ。
主催者は現在オープンしている都内数カ所の商業施設についての簡単な説明と感謝の辞を述べ、そのまま乾杯の音頭へと移った。
その後はすぐにフリータイムだ。
すでに夕食時のため、早速テーブルの料理を皿に取る人もいれば、グラスを手に歓談を続ける人もいる。
「本当ですか?」
「ああ、今度颯太くんも一緒にーー」
ふたりの会話を見ながら、違和感を覚えた。
颯太は笑っているようで笑っていない。
張り付いた笑みとでもいうのだろうか。
その表情に全く温度を感じないのだ。
けれど、藤島さんとの友好的なやりとりに少しの壁も感じない。
そこにますます違和感がある。
藤島さんは気づいていないんだろうか。颯太の笑顔が不自然なことに。
少し会話をして、会釈をしてその場を去った。
そのまま幾度か同じような挨拶を繰り返しているうちに、船が出航した。
バンケットスタッフに飲み物を問われ、颯太と同じくシャンパンをお願いした。
司会が進行を務め、主催者がマイクの前に立つ。
主催者は現在オープンしている都内数カ所の商業施設についての簡単な説明と感謝の辞を述べ、そのまま乾杯の音頭へと移った。
その後はすぐにフリータイムだ。
すでに夕食時のため、早速テーブルの料理を皿に取る人もいれば、グラスを手に歓談を続ける人もいる。