元彼専務の十年愛
颯太の言う通り、Uターンする辺りから展望デッキは混み始め、2階へと戻った。
さっきのキスなんてなかったように軽く食事をし、談笑をしている人たちと少し会話をして、桟橋近くまできて閉式となった。
下船して近くの駐車場まで歩くと、そこではすでに隆司先輩が待っていてくれた。
颯太と一緒に後部座席に乗り込む。
「自宅でいい?」
「ああ、頼むよ」
車はすぐに発進し、広い通りへと出る。
「遠くまで悪かったな。休日なんだから、タクシーでもよかったのに」
「いや、横浜なんて久しぶりに来たから、散策して楽しめたよ」
ふたりの会話をぼんやりと聞きながら、車窓に映る夜景が変わっていくのを見つめた。
建物に阻まれて一瞬消えた光が、角度を変えてまた顔を出す。
それを繰り返しているうちに、いつの間にか私の視界は真っ暗になった。
ふわふわと不安定に揺れる頭が引き寄せられて、固い何かにコツンと当たって止まる。
シトラスが香って不思議と安心感に包まれ、私の意識はそのまま遠のいていった。
さっきのキスなんてなかったように軽く食事をし、談笑をしている人たちと少し会話をして、桟橋近くまできて閉式となった。
下船して近くの駐車場まで歩くと、そこではすでに隆司先輩が待っていてくれた。
颯太と一緒に後部座席に乗り込む。
「自宅でいい?」
「ああ、頼むよ」
車はすぐに発進し、広い通りへと出る。
「遠くまで悪かったな。休日なんだから、タクシーでもよかったのに」
「いや、横浜なんて久しぶりに来たから、散策して楽しめたよ」
ふたりの会話をぼんやりと聞きながら、車窓に映る夜景が変わっていくのを見つめた。
建物に阻まれて一瞬消えた光が、角度を変えてまた顔を出す。
それを繰り返しているうちに、いつの間にか私の視界は真っ暗になった。
ふわふわと不安定に揺れる頭が引き寄せられて、固い何かにコツンと当たって止まる。
シトラスが香って不思議と安心感に包まれ、私の意識はそのまま遠のいていった。