□TRIFLE□編集者は恋をする□
濡れて頬に張り付いた黒い髪を、邪魔くさそうに乱暴にかきあげながらこちらを見る黒い瞳。
仕事場で見るのとは全く違う、熱を持った片桐の視線が色っぽくて身体の芯が熱くなった。
ぞくぞくする。
どんどん上昇する体温に、めまいがしそうだ。
「やっ、片桐……」
だめ、と小さくつぶやいたけど、もう抵抗する気力もなくて片桐の肩にしがみついてぎゅっと目を閉じた。
大きな手のひらが私の胸を包む。
そして親指で円を描くようにして先端に優しく触れた。
固くなった先端を確かめるように指でなぞり、軽くひっかく。
それだけでどうしようもない快感が体に走り、勝手に身体が跳ねる。
「あ……、ん」
絶え間なく振り続ける熱いスコール。
狭いバスルームに充満するむせ返るような湿気。
まるで熱帯のジャングルにいるみたいで、頭がくらくらした。
片桐の左手が私の胸から離れ、お湯の中に潜る。
こんなお湯の中にいるのに、私の中から溢れだしたもので片桐の指先が濡れているのが、手に取るようにわかった。