□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「や、んんっ……!」

焦らすように前後に指でなぞられ、びくんと腰が反る。
私が身体を揺らすとそれに反応するように水面が波立ちバスタブからお湯が溢れる。
片桐の指の動きに合わせ、中からどんどん蜜を溢れさせる私の体みたいだ。

水を叩くシャワーの水滴。
ゆらゆら揺れる水面。
たちこめる熱気。

長い指先の愛撫も、強引なキスも、目の前の逞しい肩も、なんだか片桐のすべてが心地よくて愛おしくかった。
あぁ、私は完璧にこの男に惚れてるんだなとぼんやりと思う。

頭がぼーっとして、くたりと片桐の肩にもたれかかった。

「……平井?」

耳元で私の事を呼ぶ声に、

「気持ちよくて、もう、だめ……」

そうつぶやいて目を閉じた。


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