□TRIFLE□編集者は恋をする□
目を開けると、見慣れた自分の部屋の天井。
あれ?なんで?バスルームにいたはずじゃ?
瞬きをすると、心配そうに私をのぞきこんでいた片桐が小さく息を吐いた。
「大丈夫か?」
「え?うん……」
「今、水持ってくるから」
バスタオル一枚体に巻いた状態で、ソファーに横になっていると、コップに水をくんで持ってきた片桐が私の足元に腰をかけた。
「ほら」
「あ、ありがと……」
受け取ったコップから、ひとくち冷たい水を飲みこむ。
「お前、のぼせたならのぼせたってちゃんと言えよ」
そうか、なんだか頭がぼーっとするなと思ったら、私のぼせてたんだ。
「だって、あんまり気持ちよすぎるから自分がのぼせてるのかどうかなんてわかんなくて……」
コップを持ったままで言うと、片桐が呆れたように小さく笑う。
「私、けっこう気を失ってた?」
「いや一瞬」
「そっか……」
「なんか、お前には焦らされてばっかりだな」
腰にタオルを巻いただけの片桐が、そう言って苦笑いする。
その顔に、身体がきゅんと疼いた。
そういえば、前に酔った勢いでこの部屋に来た時も、私が途中で意識を失っちゃったんだっけ。