□TRIFLE□編集者は恋をする□
片桐の腕枕で寝ていると、どこかから低い振動音が聞こえてきた。
なんだろう。と夢心地でぼんやりと思っているうちに、私の頭の下の腕がそっと引き抜かれ、ベッドから片桐が出ていく気配がした。
「もしもし?……あぁわかった」
暗い部屋に微かに聞こえる不機嫌そうな片桐の声に、あぁ電話だったんだ、と思い身体を起こす。
片桐がため息をつきながら洋服を着ているところだった。
「……あれ、帰るの?」
半分寝ぼけている私は、目を擦りながらそうたずねる。
「悪い。ちょっと用事できた」
「ううん、いいけど。仕事?」
こんな時間に電話で呼び出されるなんて。
どうしたんだろう。
ベッドから立ち上がろうとした私に、「いや、仕事じゃなくて女」と片桐が無感情な口調で言った。