□TRIFLE□編集者は恋をする□
「で、どうするんですか平井さん」
「どうするって何が?」
真剣な表情で詰め寄って来たデガワに、私は首を傾げる。
「好きな男に彼女がいるってわかったら、大人しく諦めて泣き寝入りするか、女と戦って奪い取るか、妥協して浮気相手でもいいから今の関係を続けるかのどれかでしょ!」
そんなの当たり前だ、というようにデガワが力強く言う。
諦めるか、奪い取るか、妥協するか。
私は一体どうしたいんだろう……。
そう思って黙り込んでいると、「おはようございまーす」と明るい声がして、三浦くんがフロアに入って来た。
「お客さん連れてきましたよー」
お客さんって誰だろうと不思議に思って顔を上げる。
「ビルの入口にいた綺麗なお姉さんに声をかけたら、うちの編集部に用事があるっていうのでお連れしました。美咲さんですー」
三浦くんの後ろについて入って来たのは、綺麗な女の人だった。
綺麗なアッシュグレーに染めた髪をボブに切りそろえたその人は、透き通るような肌の白さに、色素の薄い綺麗な目をしていた。
わぁ、すごい美人……。