□TRIFLE□編集者は恋をする□
12月号のデザインカンプをチェックしながらため息をつく。
片桐の彼女、綺麗な人だったな。
すごく色が白くて、背が高いのに華奢な身体。
日に焼けて浅黒く逞しい片桐と並んだら、きっとすごく絵になるだろう。
片桐はあの女の人と付き合ってるんだ……。
まぶたが熱い。
泣きそうだ。
溢れそうになる感情を、両手で額を押さえ深呼吸をしてなんとか堪える。
こんな気分のときに、よりによってクリスマスのイベント特集なんて。
デスクの上に並ぶ、特集ページのカンプ。
その華やかなレイアウトと大きく綺麗なクリスマスツリーの画像が目に入る。
綺麗なツリー。
この写真も片桐が撮ったんだよな。
片桐の写真はどんな写真も人の心をひきつけるような不思議な魅力がある。
きっと、技術や経験では埋められないものがあるんだろう。
無意識に片桐の事を考えてしまう自分に気が滅入って、もう一度ため息をついた。
「あたし、ああいう女の人ってキライです!」
デガワに唐突にそう言われ、肩が跳びはねる。
「わ、びっくりした」
自分の世界に入っていて、後ろにデガワがいる事に全く気付かなかった。