□TRIFLE□編集者は恋をする□
「それは偶然片桐が外出していただけじゃない?」
「だって、編集部まで届けに来なくても、スマホに電話すればいいだけの話じゃないですか」
「まぁ、そう言われてみればそうだけど。きっと彼氏が働いてる職場を見てみたかったんだよ」
「その割には、あたし達の事やけにじろじろ見てませんでした?片桐さんと一緒に働いてる女を偵察にきたみたいに」
「そう?私はただ綺麗な人だなーとしか思わなかったけど……」
「んもー!平井さんって、本当に仕事以外の事になると鈍いんだから!」
私は至って真面目に答えているつもりなのに、デガワはなぜか怒り出した。
「ちょっとは人を疑うとか、裏を読むとかしてくださいよ!」
「え、そんな事言ったって……」
「平井さん、負けないでくださいよあんな女に!あたし応援してますから!」
「えぇ……?」
そんな一方的に応援されても困るよ。
私は自分がどうしたいのかもよくわからないのに。
「えっと、とりあえずこの原稿チェックしちゃってもいい?」
勝手に熱くなるデガワにそう言うと、
「もう!平井さんって本当に仕事バカなんだから!!」
と、ものすごい勢いで叱られてしまった。