□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

見ないの?
ドレスを着た美咲さんはとっても綺麗だったのに。

……あぁ。そうか。
もうとっくに美咲さんからドレス姿の写真を見せてもらったのかもしれない。

なんだか、ものすごく傷ついてる自分がいる。
片桐が見たいと言っても見たくないと言っても、どっちにしろ私は傷つくんだ。

きっと私は、片桐の慌てる姿が見たかったんだ。
美咲さんの話をする私に、少しでもいいから動揺したり誤魔化そうとして欲しかったんだ。
あの整った余裕な顔が、私のせいで崩れるのが見たかったんだ。

「ばかばかしい……」

片桐には彼女がいる。
好きになったって無駄だ。

わかっているのに脳裏に浮かぶのは片桐の事ばかりで、本当に自分が嫌になった。

「あーぁ。人肌が恋しい……」

デスクにつっぷしたままつぶやいて、余計にむなしくなった。
もう、誰でもいいから抱きしめてほしいと思うのは、女として末期でしょうか。

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