□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

何か問題あっただろうか。
目の前のゲラを真剣に見つめたけれど、何も思い当たらない。
そんな私に編集長は大きなため息を吐きながらトントンとデスクを叩いた。

「このページ、掲載店差し替えになるんじゃなかったのかよ」

「あ……っ!!」

編集長の言葉に目を見開く。

そうだ。
このニューオープンのページ、開店が延期になったから次号の店と差し替える予定だったんだ。

それなのに、そのまま印刷所に入稿してしまった。
なにをやっているんだ私……。

「す、すいません!取材は済んでて写真も撮れてるんで、今すぐやります……!」

ありえないミスに、青ざめながら目の前のゲラを持ち上げる。
編集長がゆっくりとため息をついた。

「まぁ、しょうがねぇよな」

しょうがない?

どんなに怒鳴られても、容赦のない嫌味の嵐も覚悟していたのに、いつも厳しい編集長が、しょうがないなんて……。
編集長の顔を見ると、私の事を軽蔑するような冷めた目で見ていた。

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