□TRIFLE□編集者は恋をする□
「いっただきまーす」
そんな私にお構いなしで、デガワはスープにスプーンを沈めた。
「あ、いただきます」
私もビニールの袋に入ったプラスチックのスプーンを取り出して、スープに口を付ける。
「美味しい。これどこのお店の?」
「うちの近くのカフェですよ。市電通り沿いの。で、片桐さんと何かあったんですか?」
「へぇ……。って、え!?」
突然出て来た片桐の名前に、スプーンを持つ手が止まる。
「な、なんでそんな事」
「だって、仕事バカの平井さんがあんな単純なミスするなんて、きっとプライベートでなんかあったんだろうなぁと思って」
「…………」
その通りだけど、思いきり後輩に見透かされてるのが悔しい。
葉月さんといい三浦くんといいデガワといい、なんでみんなこんなに鋭いわけ?
「別に何も……」
「話してくれないんなら、本気でスープ代10万払ってもらいますよ」
「…………ヒドイ」
これは恐喝じゃないか。立派な犯罪じゃないか。