□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

「ふーん。あの彼女さんは片桐さんの暴力で美容師やめたって言ったんだぁ」

私の話を聞いたデガワが、つまらなそうに唇を尖らせる。

「そんな事で平井さんはうじうじ悩んでるんですか?」

「そんな事?」

そうばっさりと切り落とすデガワに、驚いて目を見開いた。

「そんなの悩むに決まってるじゃない!だって片桐が暴力なんて信じられないし……」

「信じるもなにも、そんなの嘘に決まってるじゃないですか」

「へ……?」

自信満々に言うデガワに、わけがわからず瞬きを繰り返す。

「なんで嘘だって……」

「彼女さん、美人だから」

「は?」

ますますわけが分からない。美人だから嘘なの?どういう理屈だ。

「美人は性格が悪いっていうじゃないですか。だから嘘に決まってますよ」

なんて極端な考えなんだ。
堂々とむちゃくちゃな事を言うデガワに、頭が痛くなってきた。

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