□TRIFLE□編集者は恋をする□
「東京かぁ……」
「まだ付き合ってもいないしただの友達だったんだけど、あたしはけっこう本気で好きになりかけてたのにー!って腹立っちゃって」
「じゃあ告白すればよかったのに」
「でももし告白してオッケーしてくれても、あたし東京札幌間の遠距離恋愛なんて絶対したくないし、東京についてきてとか言われても困るし」
「あ、困るんだ」
意外。
恋愛第一のデガワの事だから、好きな相手と一緒なら東京だろうがニューヨークだろうがついて行きそうなイメージなのに。
「だって、仕事があるじゃないですか」
ぽつりとそう言ったデガワに、おにぎりを齧ろうとしていた口が止まった。
いつもオシャレと男の人にしか興味のなかったデガワから、そんな言葉が聞けるとは思わなかった。
ちょっと前までは、この職場の楽しみなんてイイ男を見ることぐらいしかないとか言ってたクセに。
気付けばウエディング本とのかけもちで留守がちな私の担当のページまで、きちんとフォローしてくれるようになっていた。
私がミスをして落ち込んでれば、こうやって気を使って朝ごはんを一緒に食べてくれたりして。
いつのまにか少しずつ、デガワも前に進んでるんだ。