□TRIFLE□編集者は恋をする□
とりあえず思い付きでそう言うと、編集長が舌打ちをした。
ちょっとした冗談のつもりだったのに、相変わらずガラが悪い。
「まぁ、その話は今度でいいか」
編集長はひとり納得して勝手に話題を切り上げる。
そう言われると、どうして私が成図社の手伝いをすることになったのか、余計に気になる。
「そういえば、最近吉乃行ったか?」
「ちょこちょこお店のぞいてはいるんですけど、ずっと閉まったままですよね」
「今、入院してるらしいぞ」
「えっ!?おばちゃんどこか悪いんですか!?」
お休みが続いてたから何かあったのかなと心配していたけど、まさか入院してたなんて。
「見舞いに来てくれるような身内もいなくてヒマらしいから、お前校了終わった後にでも遊びに行ってやれ」
そう言って、編集長は私に向かって小さく折りたたまれた紙を差し出した。