□TRIFLE□編集者は恋をする□
「ダメですよ!そんな色気の無い恰好じゃ、片桐さんの彼女に勝てませんよ!」
「勝つも何も、ただ仕事関係の人と三人で飲むだけだよ」
「それでも、イイ女アピールして彼女さんを牽制しなきゃ!!」
美咲さんにはすでに必死で仕事をしてる普段の私の姿を見られてるから、今更遅い気がするんだけど。
「もう帰って着替える時間はないから、これでいいよ」
面倒くさくてそう言うと、「あ、クリーニングから帰ってきたニットあるわよ」と、葉月さんが会話に入って来た。
「どんなのですか?」
「黒いアンゴラのニットなんだけど」
「わぁ、いいですね、黒ニット。大人の女って感じ。ほら平井さん、着てみてください!」
「えぇー……」
デガワに押し切られ仕方なく葉月さんから借りたニットに着替える。
が。
胸元が大きく開いたVネックのニットに、思わず絶句した。
「着替えましたー?」
ロッカーをのぞいたデガワに、胸元を押さえて首を横に振る。