□TRIFLE□編集者は恋をする□
「そういえば、昨日は大丈夫だった?」
「え……?大丈夫ってなにがですか?」
「女癖の悪いカメラマンに襲われなかった?」
さらりと聞いてきた葉月さんに目を見開いた。
「何、その化け物を見るような顔は」
ぎょっとした顔のままフリーズした私を、葉月さんは憤慨した様子で睨む。
「昨日平井が帰った後に、新田さんだっけ?東京のウエディング本の編集長から電話来たのよ」
「そうなんですか。仕事の件かな」
「平井はカメラマンと飲みに行ったって話したら、あの岩本ってカメラマン、仕事は出来るんだけど思い込みが激しいし、酒が入ると見境なく女の子に手を出すから絶対平井口説かれるって心配してて」
やっぱり元々女癖の悪い人だったんだ。
昨日、酔っぱらってベタベタと体に触って来た岩本さんを思い出して、嫌悪感がよみがえる。
「それを聞いた片桐が、すごかったのよ」
「え……?片桐がどうかしたんですか?」
「平井の携帯に電話しても出ないし、一緒に飲んでるはずの美咲さんは家にいるっていうし、カメラマンと平井が二人っきりだって知って、片桐すっごい怖い顔をして編集部を飛び出して行ったんだから」