□TRIFLE□編集者は恋をする□
「別に男に興味ないってわけじゃないけど……」
私の顔と片桐の距離、わずか30cm弱。
その距離で片桐の切れ長の目に見上げられると、さすがに少しドキドキした。
彫りの深い整った顔立ちと、男らしい顎のラインに厚めの唇。
男であることを主張するセクシーな喉仏。
伸びた髪を無造作にひとつにくくった髪形。
テレビや雑誌の中の綺麗に整ったイケメン達とは違う、生々しい男の色気。
デガワが言ってた大人の男の色気って、これの事か。
なるほど、こうやってふたりきりで見つめられると、片桐がモテるのも分かる気がする。
でも。
「今は男より、仕事の方が興味ある」
やっぱり私は仕事が一番な、馬鹿な女だ。
「恋愛ってめんどくさいでしょう。時間は食うし、頭の中その人の事でいっぱいになるし。
そんなの時間を割いてる暇があるなら、今は思いっきり仕事していたい」
「面倒くさい、か」
私の言葉に、片桐は自分の唇に軽く触れた。
何か考えてる時のクセなんだな、きっと。
どこか遠くを見るような視線が、ちょっとだけ色っぽい。