□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

一体何の事だろうと思っていると、編集部の方から美咲さんの声が聞こえてきた。

「うわ、最悪……」

寝起きの少し掠れた声で、不機嫌そうにつぶやく。慌てて美咲さんに声をかけた。

「あ、美咲さん起きました?」

美咲さんは返事の代わりに私を睨みながら舌打ちを返してくる。
朝からご機嫌斜めの様で、と思わず苦笑いした。

「メイクしたまま寝ちゃうとか、もう信じられない」

「あ、顔洗います?クレンジングありますよ」

「あんた、会社にクレンジングまで常備してんの?」

「はい。洗顔とか化粧水とか一通り置いてありますよ。今取ってきますね」

「いい。いらない。もう帰るから」

立ち上がった美咲さんを、私は慌てて追いかける。

「美咲さん、本当にありがとうございました。美咲さんが撮影を手伝ってくれたお陰で素敵な写真が撮れました!」

「そんな大きな声出さないでよ。寝不足で頭イタイ。っていうかあんた徹夜で仕事してたのになんでそんなに元気なのよ」

「慣れてますから」

「バッカみたい」

私が迷わず即答すると、美咲さんは呆れたように肩を上げた。

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