□TRIFLE□編集者は恋をする□
「分かってもらおうとしないからダメなんですよ。お店で孤立した時だって変な陰口言われた時だって、自分から誤解を解こうともしないで、周りのせいにしてたらなにも解決しないです」
「でも、誤解を解こうと努力しても無駄だったら?」
「そんなの、努力してから考えればいいんですよ。とりあえずがむしゃらに仕事して、カッコ悪くても必死に頑張ってみて、それでも理解してくれない職場ならやめればいい」
「そんな簡単に言わないでよ」
「ほら、またすぐやりもしないで文句を言う。美咲さんがうちの編集部の新人だったら、私が泣くまで説教してその根性叩き直してますよ」
「やめてよ。あんたの部下になるなんて考えるのもイヤ」
「美咲さんには、かっこつける余裕もないくらい、徹底的にへこむくらい、容赦なく叱ってくれる先輩がいればよかったのに」
例えばうちの編集長みたいな。
私が新人だった頃、何度も何度も叱ってくれた。
耳が痛くなるくらい説教された。
その時は、編集長が大嫌いだったけど、朝になるたびに職場に行きたくないと憂鬱な気分になったけど。
叩かれて叩かれて、しなやかで柔軟な強さを身に着けて、どんどん前に進んでいけるような力を付けさせてくれた。
その辛い経験が、今の自分を作ってる。