□TRIFLE□編集者は恋をする□
「もし企画が通ったら、片桐にカメラの指導の方協力してもらうと思うけどいい?」
「別にいいけど、俺教えるの下手だぞ」
「そんな事ないよ。片桐の教え方すごく分かりやすいよ!」
身を乗り出して言うと、片桐は目を細めて笑った。
その表情にきゅんとする。
悔しいけど、やっぱり片桐は魅力的だ。
「俺に手伝えることはやってやるから、無理するなよ」
「ありがとう。ウエディング本の方ももう落ち着くし、これからはTRIFLEを全力で頑張らなきゃ」
両手で力こぶを作って気合を入れると、またキーボードに手を伸ばす。
「ウエディング本、今度の表紙の撮影で最後だっけ?」
「そう。よく知ってるね」
「新田さんに聞いた」
「へぇ」
新田さんはちょこちょこTRIFLEの編集部にも顔を出してるし、世間話ついでにそんな話をしたんだろうな。
片桐は椅子から立ち上がりながら、ついでのように言った。
「そういえば、美咲がお前に礼を言ってた」
「美咲さんが?」
お礼なんて、どうしてだろう。