□TRIFLE□編集者は恋をする□
 

ふーと大きく息を吐き出しながら、優しい表情で私の事を見ていた。

「やっぱ、すげーなお前は」

「何それ。どういう意味?」

首を傾げる私の頭に、片桐の大きな手が触れた。
そしてわしゃわしゃと、乱暴に私の髪をなでる。

「無鉄砲で不器用でバカみたいに前向きで、周りを巻き込んで暴走して」

「ちょっと、バカにしてるでしょ」

同じような事、美咲さんにも言われた気がする。

「お前見てると、自分も頑張らなきゃって思うんだよな」

独り言のようにそう呟いて、片桐は私の頭から手を離した。

「あー、もう!また髪の毛ぐしゃぐしゃになったじゃない!」

私を見る片桐の目はすごく優しくて、勝手に胸がドキドキした。

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