□TRIFLE□編集者は恋をする□
「最初は面白半分で口説いてたんですけど、いつも真剣に仕事してる姿とか、無鉄砲で放っておけないところとか、恋愛の事になるといきなり不器用で弱気になるところとか、平井さんの事そばで見ているうちに、本気で惚れたみたいです」
ぎゅっとつないだ手の指先に力を込めて、目を見つめたまままっすぐにそう言う。動揺した私は思わず目をそらした。
「片桐さんにフラれたばっかりで、すぐに俺と付き合ってなんて言わないですけど、考えておいてください」
黙り込んだ私を気遣うように、三浦くんはいつもどおりの明るい声でそう言う。
「トライフル。冷たいうちに食べてください。美味しいですよ」
ぱっと私の手を離すと、何事もなかったように三浦くんは私のデスクから離れていった。