□TRIFLE□編集者は恋をする□
 
今日のこのホテルでの表紙の撮影が、最後の撮影になる。
ウエディング本を作り始めたのはまだ去年の年末だったのに。
目の前に広がる緑の木々を見ながら時間の流れの早さにため息をついた。

「平井さんにはすっかりお世話になっちゃったわね。TRIFLEと掛け持ちで本当に忙しかったでしょ」

「いえ、編集の方までお手伝いさせてもらえて、本当に勉強になりました。ありがとうございます」

元々はロケの準備やアドバイスの程度のお手伝いの予定だったのが、新田さんの計らいで担当のページをもらい編集の仕事までやらせてもらう事ができた。
その分忙しかったけれど、TRIFLEの編集部では体験できないいろいろな経験をすることが出来てすごく勉強になった。

今日の撮影が終わってウエディング本がひと段落したら、TRIFLEの方も気合を入れて頑張らなきゃな。
そう思いながら、綺麗な空気を胸いっぱいに吸い込む。

「そういえば、前から思ってたんだけど平井さんってメイク映えしそうよね」

新田さんがそう言いながら、私の肩に手を置いた。

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