□TRIFLE□編集者は恋をする□
 





「はい。平井さん、鏡見ていいわよ」

そう言われ、恐る恐る鏡の方を振り返る。

ビスチェタイプの胸元に、丁寧に施された繊細な刺繍。
タイトなウエストから花が開くようにふわりと広がるシルクオーガンジーのドレスの裾が、動くたびに光の中に溶けるように柔らく揺れる。
陽にかざした真珠のように優しく光を反射するオフホワイトのドレスは、上品でシンプルなシルエットと刺繍やレースなど手の込んだディテールが隅々まで施されていて、とても美しかった。

そんな素敵なウエディングドレスに身を包んだ私が、目の前の鏡の中にいた。

「わぁ……」

ドレスに合わせてシンプルにまとめたヘアスタイル。
プロにきちんとメイクしてもらうと、まるで別人みたいに見える。

「すごいです……!すごく素敵……」

ため息をもらしながらそう呟くと、新田さんが満足げに頷いた。

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