□TRIFLE□編集者は恋をする□
「美咲は高校の時の後輩で、三年くらい前に撮影の現場で再会して付き合い始めたんだ。でもあいつは昔っから男にチヤホヤされるのに慣れてて、俺みたいなタイプとは合わなかったんだろうな」
片桐と美咲さんはそんなに前から知り合いだったんだ。
高校時代から可愛らしかったんだろう。
男の子に囲まれる美咲さんの姿が簡単に想像できた。
そしてそれは、他の女子たちの嫉妬の対象になってしまっただろうという事も。
「マメに連絡しない俺に美咲は腹をたてて、会えばいつも喧嘩になった。美咲を安心させてやれなかった俺が悪かったんだけ、まともに付き合ってたのは最初の一年くらいだった。そのあとはお互い恋愛感情というより惰性で続いてただけで、このまま自然消滅するだろうなと思ってた」
「うわ、自然消滅狙うなんて最低」
「本当に男として最低だよな。これじゃ付き合ってる意味はないと思って美咲に別れ話をしたんだけど。ほとんど終わってるような関係だったとはいえ、俺から別れを切り出された事に腹が立ったんだろうな。すごい勢いで怒り出して絶対別れたくないって泣かれて。その俺に対する不満や悩みを店の男の客に相談してたらしいんだよ」